【読書】「本を分類する」感想/本を分類するための考え方や専門用語から、デューイ十進分類法・日本十進分類法・コロン分類法の解説まで!

2023年7月8日土曜日

図書館 読書 分類法

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  • タイトル:本を分類する
  • 著者:緑川信之 著
  • 出版社:勁草書房
  • 出版年月日:1996年10月

今回読んだ本のタイトルは「本を分類する」。
著者は緑川信之氏で、勁草書房からの出版です。

イントロダクション

地元の市立や町立、あるいは区立の図書館へ行くと、本がテーマやジャンルごとに分けて本棚に並べてあることでしょう。
多くの図書館では本の背にラベルが貼ってあって、そこに本の分類を示す3桁以上の数字が書いてあると思います。

現代において、図書館が所蔵の本を何らかの分類法をもとに分類した上で本棚に並べてあるのは常識的なことですが、それでは、その分類法はどのような考えから、どのような基準で本を分けているのでしょうか?
今回読んだ「本を分類する」には、本を分類するに当たっての考え方に始まり、実際に図書館などで使われている実在の分類法の解説が書かれてありますので、そのような疑問を解決へと導くことでしょう。

こんな人に読んでほしい!

この本は、本の分類をする必要性に迫られている方にオススメです。
具体的に言いますと、例えば通信制高校のサポート校の図書室のような、学校図書館ではないけれども個人の蔵書よりは規模が大きいところで、増えてきた本を分類して整理整頓しようという話になったものの、「そもそも本を分類するってなんだ? どのようにするのか?」といった困りごとを抱える人にピッタリです。

(えっ…?)
(実際にそんな人がいるのかって?)
(意外といるんですよ、これが。)

「通信制高校のサポート校の図書室」の部分は、他にも「職場の図書室」などに置き換えることができるでしょう。

それだけではなく、この本は具体的な本の分類法としてデューイ十進分類法(DDC)、アメリカ議会図書館分類法(LCC)、コロン分類法(CC)、国際十進分類法(UDC)、日本十進分類法(NDC)の5種類を解説していますので、それぞれの分類法について知りたい調べたいという方にもオススメできます。

読書感想文

ここからは、この本を読んだ感想、つまり読書感想文を書き綴ります。
本当はカッコよく「書評」であるとしたいのですが、しかし、ノリピーは図書館で働いているわけでもなく、かといって学者というわけでもありません。

ですので、この本に書かれてある解説を評価できるほど、本の分類について知識を持ち合わせていませんので「読書感想文」とさせて頂きます。

この本は3つの章から構成されています。
まずは「分類」という言葉の定義から入り、そもそも人は何の目的からどのように分類して、その分類はいかに利用できるのかなど、分類に関しての基礎的な知識や用語を一通り解説する第1章。その上でデューイ十進分類法やコロン分類法など、実在する5種類の主要な分類法を解説する第2章。最後に、分類法の構造を分析することによって、既存の分類法の種類分けに批判的考察を行うとともに、デューイ十進分類法を中心に分類法の歴史的な展開を振り返り、分類法の特徴や課題などを明らかにする第3章です。

第1章

専門的なテーマですから、さっそく第1章から本の分類に関わる専門用語が当然出てきます。
例えば「相互排他的区分」や「助記性」といったものです。

ですが、専門用語が本文中に登場する際には、どれも簡単な例え話などを交えつつ解説が行われていましたので、すらすらと読むことができました。
専門的な用語が出てくる本の中には、「はて? この用語はどのような意味だろうか?」とググったりする必要があるものもありますが、この本ではそのような理由からいちいち読むのを止める必要がなかったということです。

ノリピーが高校生時代に使っていた世界史の教科書は、解説を行う文章中にさりげなく用語が登場する書き方だったのですが、この本の解説もそのようになっているとイメージして頂けると実際に近いと思います。

第2章

第2章ではデューイ十進分類法、アメリカ議会図書館分類法、コロン分類法、国際十進分類法、日本十進分類法の5種類の分類法を解説しています。

この中では、日本十進分類法は日本の図書館利用者に広く知られているのではないでしょうか?
詳しい分類体系を知らないにしても、多くの日本の図書館が日本十進分類法を採用していますので、知らないうちに触れているという方もきっと大勢いることでしょう。

その一方で、他の4種類の分類法はあまり身近ではないですよね。
洋書を中心に扱う図書館に行ったことがあると話が変わってくるかとも思いますが、ノリピーはそうではありませんので直接触れた機会はありません。

一応、5種類の分類法はWikipediaに個別のページがあります。
しかし、日本十進分類法はともかく他の4種類の分類法については、記載されている情報が少ないことが各ページの文字数からしても明らかです。

▼デューイ十進分類法 - Wikipedia

▼アメリカ議会図書館分類表 - Wikipedia

▼コロン分類法 - Wikipedia

▼国際十進分類法 - Wikipedia

▼日本十進分類法 - Wikipedia

この5種類の分類法を、この本では平均して21ページほど割いて解説しています。
いくつか主題を例に出して、その主題はその分類法ではどのような分類記号で表されるのかという説明もありましたので、その解説には具体性がありました。

第3章

第3章では、それまでの解説を踏まえて、著者独自の考察が行われます。

考察する要点は2点。
第2章で触れた主要な5種類の分類法など、個別の分類法の構造を分析することによって、既存の分類法の種類分けに批判的考察を行うことと、デューイ十進分類法を中心に分類法の歴史的な展開を振り返り、既存の分類法の特徴や課題などを明らかにすることです。

この本でも触れられているとおり、本の分類法の種類を考えた場合、「列挙型分類法」と「分析合成型分類法」という2種類に大きく分けられるという考え方があります。

ノリピーも今までそうなんだと思っていましたが、著者はこの2種類の分け方で様々な分類法を考えることには問題があると指摘するとともに、それに代わる分け方を考案しました。
詳しく著者の考察をブログに書いてしまうと、この読書感想文はネタバレへと変質してしまいますので、気になる方はぜひこの本をお読み頂きたいです。

続く第3章後半では、デューイ十進分類法を中心にして分類法の歴史を振り返り、著者は考察を進めます。

デューイ十進分類法の初版は1876年、アメリカのデューイという人物によって出版されました。
今では分類などをもとにして本を並べる相対排架方式が主流ですが、デューイ十進分類法が生まれた当時は、本を本棚の特定の場所に固定して配する固定排架方式が支配的だったそうです。

そのような時代背景だったにも関わらず、現代のデューイ十進分類法はアメリカの図書館を始め、世界中の図書館で広く使われる分類法へと成長しました。

また、デューイ十進分類法はそのまま使われるだけではなく、後発の分類法へ多大な影響を及ぼしています。
日本十進分類法もその例外ではなく、主類の配列はカッターの展開分類法(EC)を参考にしているものの、十進法の階層構造という体系はまさしくデューイ十進分類法からの影響です。

何故、デューイ十進分類法は世界中の図書館から選ばれ、さらには後発の分類法に影響を与えうる分類法となったのでしょうか?
他の分類法と比べて、デューイ十進分類法はどの部分が優れていたのでしょうか?

詳しく著者の考察をブログに書いてしまうと、この読書感想文はネタバレへと変質してしまいますので、気になる方はぜひこの本をお読み頂きたいです。
(↑大事なことなので2回言いました。)

まとめ

以上、「本を分類する」の感想でした。

本を分類するという行いは、世間から軽視されがちな傾向にあるとノリピーは感じる時があります。
しかし、この本を読んで、理論的な正しさと実用性のバランスをうまく保てる分類法を生み出すことは、とてもとても難しい事なのだと改めて思いました。

人類の文明が続く限り、そのバランスの追及は永遠に行われることなのでしょう。
たかが本の分類と侮ることなかれ。

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お金がないので基本無料ゲームで遊んだり、フリーソフトで頑張っている人物です。/最近、再び読書をするようになりました。SF作品を好んで読みます。/写真を撮影するのが好きです!

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