Inkscapeのバージョンを見ると、バージョン番号に続いて「alpha」とか「beta」といった文字が書かれてある場合がありますよね。
これら2つがそれぞれα版やβ版を表しているのは、プログラマーでなくてもなんとなく分かりますが、その一方で、Inkscapeのバージョンの中には「rc」と書かれてあるものもあります。
この聞きなれない「rc」とはどのような意味なのでしょうか?
今回のブログでは、この「rc」について解説します!
イントロダクション
今更説明する必要はないかもしれませんが、Inkscapeはベクター画像編集用のフリーソフトです。
ノリピーはInkscapeをブログ用画像作成のため、頻繁に利用しています。
ある日、ノリピーは「バージョン1.3はどこまで完成したのかな~?」と、Inkscapeの最新バージョンの番号がいくつになっているのか気になって、Inkscapeの公式Webサイト(https://inkscape.org/release/inkscape-1.3/)を覗いてみました。
覗いたInkscape公式Webサイトが下の画像です。
Inkscapeの公式Webサイトの一部分 |
1.3を冠するバージョンが4つあることが確認できます。
「1.3」は安定版ですので置いておくことにして、下から順に「1.3alpha0」、「1.3beta0」、「1.3rc」の3つのバージョンが書かれてありました。
「1.3alpha0」と「1.3beta0」は、それぞれα版とβ版です。
このことは、プログラマーでなくても分かる方が多いのではないかと思います。
では、そのα版とβ版に続くバージョンである「1.3rc」はどうでしょうか?
この”rc”は「RC版」を意味しているのですが、「RC版」という聞きなれない用語の意味が気になりませんか?
「RC版」とは?
一般的にソフトウェアを開発する場合、いくつかの段階を経て最終的なバージョン(版)が完成します。
例えば、α版やβ版で新機能のテストなどを行い、バグなどの問題点が見つかれば改善していき、最終的なバージョンへと進めていくといったような段取りです。
この最終的なバージョンは販売や公開の形式に応じて、「GA版」や「RTM版」などと呼ばれます。
「RC版」とは、バグなどの問題点がないか探るテスト段階の1種で、GA版やRTM版に達するより前で、なおかつα版やβ版より後に位置付けられるものです。
RCとは「Release Candidate」の略であり、「リリース候補版」と訳されます。
RC版で致命的な問題点が見つからなかった場合は、RC版が最終的なバージョンとして販売、もしくは公開されます。
Inkscapeにおける「RC版」
Inkscapeの場合、テスト段階が終わったバージョンは「安定版」(安定バージョン)と呼ばれます。
記事執筆の時点(2023年7月27日現在)では、バージョン1.3が最新の安定版です。
Inkscapeの新バージョンの開発はバージョン1.0以降、α版 → β版 → RC版 → 安定版という順番で進められています。
ベータテストを終えたとはいえ、RC版にはまだバグが潜んでいる可能性があるため、利用に際しては「ご自身の責任で使用してください。」(Use at your own risk)といった注意書きが伴われている場合があります。
最新の機能をいち早く使ってみたいとか、バグを発見して報告してInkscapeの開発を手助けしたいといったような理由が特になければ、開発中のバージョンより前の安定したバージョンを使う方が無難でしょう。
まとめ
以上、「RC版」の用語解説でした。
α版やβ版という用語と比べると、プログラマーはともかく一般の方々には馴染みが薄い用語だと思います。
(かく言うノリピーもプログラマーではありませんが…)
何かのソフトウェアの開発者というわけでもない場合は、「RC版」という用語を知っていても知らなくても日常生活に影響は全くないことでしょう。
ただ、α版やβ版、RC版といった各テスト段階を示す用語を知っていると、使っているソフトウェアの次期バージョンの開発がどの段階まで進んでいるのか分かって便利です!